連鎖

社会人として働き始めた当時、先輩や上司にご馳走してもらうときに、
「itaikuちゃんが先輩になったとき、後輩にご馳走してあげて」
と言われることが少なからずあった。


初めてこの言葉を聞いた時には、この言葉の素晴らしさに感動し、納得した。
そして「ご馳走してもらって申し訳ない」という気持ちが薄れ、純粋に「ご馳走様でした」と言えたのを覚えている。
私にそう言った上司は、「自分も若い頃にそう言われた」と話してくれた。


最近は、部下とまではいかずとも後輩と呼べる人がいて、たまにご飯に一緒にいくと、私もあの言葉を言うことがある。
自分も大人になったなぁと妙に照れたりするが、そんな自分が誇らしくもある。
そんな姿をあの時の上司が見たら、「えらくなったな」とからかうかも知れないな。
でも、こういう“大人の社会”って、悪くない。


いつか私の後輩が、同じ言葉を口にしながら若い誰かにご馳走する日がくると思うとそれも楽しみの一つになる。
そして私も「えらくなったな」とからかうのだ。