豆腐

私の嫌いな食べ物の筆頭に鎮座する豆腐。
食べられないことはないが、食べた後は胃の中いっぱいに豆腐が詰まっている感覚に陥り、その後3時間は豆腐くさい自分の息に悩まされる。
それなのに、それなのに。


そいつをコンビニで目にしたとたん、離れられなくなった。
その魅力的なネーミング。主役の座を奪うかのごとく取り囲む強力な脇役たち（納豆・オクラ・キムチ・たくあんの千切り・半熟卵・刻みのり）。
明らかにそこで私を呼んでいた。「た・べ・て（ハート）」ってウィンクしてた。
キミなら、キミなら食べられる気がするよ。否、むしろ食べたい。食べなければなるまい！
一目惚れといっても過言ではない。この出会いを見逃してはいけない！
勢い勇んで買ってきた。そして嬉々とパッケージを破った。
それなのに。それなのに。


一口食べたらやっぱり豆腐。三口食べたらもう胃の中が全部豆腐。強力と思われた脇役たちも、やはり主役には勝てなかった。


なんで買っちゃったんだろう。（半分以上残るそいつを見つめながら）